Edward Burne-Jones

この美しい、華麗な作品を見ていると、つくづく見る事の喜びを感じる。はじめて雑誌で見た時の感動がまざまざと蘇ってきて、目も心も、至福の時を過ごすことが出来る。
バーン・ジョーンズは、ラファエル前派の中でも穏健で端正、奥ゆかしい画風だと言え、それだけにロセッティのように露骨な女性賛美(平たく言うと女好き)で反感をかう事も少なく、ヴィクトリア朝の時代の良識的な、模範的な画家というイメージが定着している。
それは言い換えれば模範的過ぎて面白味がない、ということにもなるのだが、この作品の、ロマンティックで神秘的、シンボリックな佇まいを見ると、バーン・ジョーンズもまた、象徴主義の典型的なひとりなのだとつくづく納得させられる。
ラファエル前派は物語の説明的解説、イラストだと常に批判されているが、確かに印象派などの「大人の」絵画に比べると、甘さにまさった幼稚さが目立つ。 それでもなお、私はそうした「甘さ」が大好きで、それこそがラファエル前派や、バーン・ジョーンズを特徴づけているものに他ならないと思う。
さてこの作品は、廃屋らしき建物の階段から、さまざまな楽器を手にした少女たちが降りてくるところを描いているようだが、謎めいた図像に見受けられる。
まず階段というマテリアルは、どうしても天国というイメージを想起させる。
古来より、階段は天国へ昇天するという象徴として絵画で扱われてきた。
さらに、白いチュニックを纏った少女たちが楽器を手にしているのを見ると、ルネサンス期の「奏楽の天使」を思い起こさずにはいられない。
作者が、それを年頭にして描いているのは間違いないだろう。見るものに天国的なイメージを喚起させるのも、無理のないことだと言える。
一様に無表情な彼女たちは美しいが、バーン・ジョーンズの絵には、すべてこの同じ顔の女性が登場する。彼のプロトタイプというか、女性像のアーキタイプなのだろう。
美しい少女たちの群像を、バーン・ジョーンズ好みの縦長の画面に描いた事で、華麗さをより引き立てているようだ。
バーン・ジョーンズのその他の作品もとてもきれいです。

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